子どもたちと「話し合う」ということ
園では、子どもたちと「話し合うこと」を大切にしています。
それは、ただ物事を決めるためではなく、子ども自身がその場の“当事者”として関わるためです。
年長児のこいのぼり製作での出来事です。
色を決める話し合いの中で、あるクラスでは「全部の色を使えばいい」という声が上がりました。一つに絞るのではなく、「みんなの好き」をそのまま形にするという発想です。保育者の想定を超えて、子どもたち自身が納得できる方法を見つけていきました。
一方で、別のクラスでは話し合いの過程で多数決で色を決めることになりました。その中で一人の子が強く思いを主張します。周囲の子どもたちはその気持ちを受け止め、「どうしたらいいか」と考え、折り合いを探ろうとしました。すぐに答えは出ませんでしたが、その時間そのものに意味がありました。

管理職としてお伝えしたいのが、保育者たちは「もやもや」したり「考えたり」と、実は子ども以上に悩んでいます。なぜか。
それは、大人がすぐに正解を与えてしまえば、その場は丸く収まります。しかし、それでは子どもたちは「当事者」ではなく、「従事者」になってしまいます。子どもたちが大人になる頃の、予測困難な社会(既に始まっていますよね)を、従事者だけで乗り越えられるでしょうか。
丁寧に関わろうとすればするほど、大人も悩みます。

幼稚園での話し合いは、単に「色を決める」ことが目的ではありません。
結果としてどの方法で決まったか以上に、「自分もこのこいのぼりづくりに関わった」という実感が、子どもたちの中に残っていきます。
時には多数決が必要な場面もあります。
時には全員の思いをそのまま活かせることもあります。
大切なのは、方法そのものではなく、その過程に子どもたちが参加しているかどうかです。
時間はかかります。すぐに答えが出ないこともあります。
それでも、こうした積み重ねが、子どもたちの「自分で考え、他者と関わりながら生きていく力」につながっていくのではないでしょうか。

