「この子の3歳は、たったの1年」
このフレーズ。実は10年程前、卒園の際に保護者からいただいたお手紙の中に添えられていた、エッセイのタイトルです。エッセイの内容を簡単にお話をすると、
*娘が3歳からの数年間は、筆者が一生の中で一番笑った時期だった。娘はジュリー(沢田研二)のモノマネを、姉のおもちゃの指輪セットを全て使い、電気スタンドをマイクの代わりにし、家にあった帽子を深くかぶり、のりのりで腰を振って歌ってくれていた。
*そんな日にも終わりが来る。
彼女の身長は伸び、しぐさに恥じらいが生まれ、髪を気にし、鏡をのぞき、親より友達といる時間がながくなる。私たちに無尽蔵の笑いを提供した天使は、どこかに消えてしまった。
*「この子の3歳は、たったの1年」
家の中は、文字通り「笑いの宝庫」だった。筆者はこの時期を「親のゴールデンアワー」と呼んでいるが、この時期は、本当に短い。気がつけば、子どもの後ろ姿しか見えなくなっている。
そんなことが綴られています。

なぜこのエッセイを思い出したかというと、その保護者のお子さまが中学校を卒業したということで、卒園生たちが園に集まってくれました。顔つきがすっかり変わった子もいれば、当時の面影を残している子もいました。ここに、子ども達に関わった元職員がいてくれるのも本当に有難い。

この後更に印象的だったのが、ちょうど課外教室の終了後と預かり保育の子どもたちがいたのですが、まさかの中学生と在園児の交流が自然と生まれていました。大きくなった先輩たちです。
見てください。「おにきめ おにきめ」とオニを決めていて、タイミングが合ったのか、謀ったのかは分かりませんが、先輩がピンポイントでオニに。笑
それを「よし!!」と見上げる子どもたち。笑


卒園した中学生と在園児が、わだかまりもなく、楽しそうに遊ぶ姿。この子たちも10年前は、ここの場所で遊んでいた。なんとも言葉に出来ない光景が、そこには広がっていました。恐らく、あの光景は一生忘れないと思います。それくらい、素敵な空間でした。

エッセイをいただいた保護者の方に、「卒園の時にお手紙をくださったの覚えていますか?」と聞くと、「覚えていますよ」と笑ってくださいました。お手紙には「幼稚園で過ごした3年間は、まさにゴールデンアワーだった」と書かれていたのです。そのことも聞いてみると、
「この幼稚園だったからだと思います」
と答えてくださいました。
胸が詰まる思いです。
卒園式が間近に迫るこのタイミングでこのエピソードを書こうか悩んだのですが、卒業式を迎えた中学生たちと保護者の姿を見ると、きっとまだゴールデンアワーは延長しているんだろうなと思わせてくださったのでブログにしてみました。
ちなみに、エッセイの最後はこう書かれて終わっています。
「渦中にある時、人はその幸せに気づかない。
だからいまその年ごろの子どもを持つ家庭に、
何としてでも伝えておきたい。
どうぞ、思う存分笑ってください。
今日という日を心ゆくまで味わってください。
そしてそのかわいさを忘れぬよう、
その姿を、
どうか胸の奥深くに刻み込んで欲しいと思う。」

