第55回 卒園式
春の暖かさに包まれながら、第55回卒園式が行われました。
卒園式の前に、子どもたちの記録を記した「幼稚園幼児指導要録」を一つ一つ目を通しました。
その記録の中には、一部ですがこのような育ちが書かれています。
人を笑わせることが好きで様々な場面で場を明るくし、周りを楽しませる姿がある。また、想像力も豊かで、園庭に埋まっている石を化石やアメジストに見立て、発掘ごっこをするなど、目的を持ち夢中で遊ぶ姿が見られた。
年長児になり、初めて挑戦することも楽しみながら積極的に取り組んだ。活動を通してクラスの友達との関わりも増え、特に2学期になると、友達との遊びの約束や集団遊びへの参加が増え、友達と過ごす良さを実感しているようだった。
弟妹の入園を喜び、年長としての自覚を持ち、周りの友達に対して優しくする姿が見られた。人との出会いを大切にし、活動の中で知り合っ他学年の友達ともすぐに仲良くなる姿勢は、友情や協力関係を築く基盤になっている。「この子とお芋掘りの時に手を繋いだんだよ」と年下の友達の事を、嬉しそうに保育者に話す場面もあった。
異年齢の友達と関わる機会も多かったことで、年長児としての自覚を強く持ちながら日々を過ごしていた。特に2学期頃からは、クラス内での活動において保育者の手伝いを積極的に行ったり、困っている友達を助けたりするなど、集団の一員としての協力心が顕著に表れた。
ほんの一部ではありますが、目には見えなかったり数値で計ることができない育ちが記されていました。これこそが、幼児教育の中で育っていて欲しい力です。また、指導要録を見ていくなかで私が感じたことは「人との関わり」に関する記述が多いことです。幼稚園という様々な人が集まる中で、一緒に過ごすことの心地よさを知り、その中で多様な考えに触れ、AでもBでもない新しい考え方や解決方法を模索することは、幼児教育の大きな目的の一つです。
近隣小学校の卒業式にご招待いただき、参加してきました。校長先生が卒業アルバムに生徒の似顔絵を描く中で感じたことを卒業生に伝えていました。
「自分の顔をどれだけ見てきたか考えたことがありますか?実は、自分の顔なのに、自分はほとんど自分の顔を見ていません。周りの人々が見ています。学校では友達や先生、家では家族が見ています。つまり、自分のことは自分よりも周りが見ているということです。自分では気づかない良いところや改善すべき点が、周りの人には見えています。そのため、人生において人との関わりは大切です。人の目が見えるように、人から自分を見てもらえるように、自信を持って前進してください。」
校長先生も、人との関わりを大切にして欲しいとお話していました。
そんな人との関わりが、幼稚園を卒園しても続いていて、卒園シーズンになると小学6年生、中学3年生、今年は高校3年生も来てくれていました。これを書いている時にも中一になった卒園児が来てくれ、卒園児たちから「人との関わりは大事だよ」と改めて教わっているように感じました。
これは常に思っていることなので去年と同じで恐縮ですが、幼稚園という場所が、子どもが何か困ったり不安なことがあった時に、いつでも頼れる場所、帰ってこれる場所でありたいと思っています。実際に就学した後に「ちょっと顔見せにいってもいいですか?」という連絡もありますよ。そういう場所が家庭だけでなく、もう一つあるという事を、子どもたちが知っていてくれると嬉しく思います。
小さな幼稚園ですが、今年度は20校くらいに卒園児がそれぞれ就学していきました。子どもの未来が幸せであることを心よりお祈りいたします。ご卒園おめでとうございます。